数日前、年末調整の還付金が口座に振り込まれた。数万円程度だったが、その日の夜だけでデリバリーアプリを3回開いたり閉じたりした。結局、一度注文してしまった。不思議なのは、給料が入った日には決してこんなことはしないということだ。同じ自分の口座、同じ金額なのに、なぜあるお金は散財しやすく、あるお金は惜しいと感じるのか。調べてみると、これは意志の問題ではなく、名前のついた心理メカニズムだった。
お金にラベルを貼る理由 — 心理会計とは何か
2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーが体系化した概念が「心理会計(mental accounting)」だ。人々はお金の出どころや使い道によって、心の中で別々の口座を作り、そこに入っているお金を別々に扱うという話だ。経済学の原則には「代替可能性(fungibility)」がある。1万円札はどこから来たものであれ、何に使おうとただの1万円であるという、当たり前すぎて名前を付ける必要すらないように思える原則だ。ところが、心理会計はこれに真っ向から反する。
カーネマンとトベルスキーが提示した有名な質問がある。10ドルの映画チケットを買って劇場まで行ったのにチケットを紛失した場合、もう一度10ドル払ってチケットを買う人はどれくらいいるだろうか。逆に、チケットを買う直前に財布から10ドル札を落としてしまったら?どちらも同じ10ドルの損失だが、人々は後者の方がはるかに簡単にチケットを買い直す。最初の損失は「娯楽費」という口座からすでに一度引き落とされたと感じるため、同じ口座からまた支出するのが二重にもったいなく感じられるのだ。紙幣を紛失した二番目の状況は、どの口座にも属さない損失なので負担が少ない。
これを単なる「エラー」とだけ見るには、納得できない部分もある。項目別に予算を分けておく習慣のおかげで、私たちは毎回複雑な計算をしなくても、だいたいどれくらい使えるかという感覚をつかめる。問題は、この利便性がしばしば損失につながるという点にある。
電卓の割引には20分かけ、ジャケットの割引にはかけない理由 — 取引効用
セイラーが挙げたもう一つの例が、個人的に一番しっくりきた。1万5千ウォンの電卓を5千ウォン安く買うために20分かけて店まで運転して行く意欲がある人が、12万5千ウォンのジャケットで同じく5千ウォンを節約しようとはしないということだ。節約できる絶対金額は5千ウォンで同じなのにである。
ここで働いているのが「取引効用(transaction utility)」という概念だ。物そのものから得られる満足感(獲得効用)とは別に、「これならうまく買えた」という判断からくる快感が別にあるという話だ。電卓は割引率が33%なので取引効用が大きく感じられ、ジャケットは4%なので相対的に物足りなく感じられる。マーケターたちが「定価」を大きく表示し、その横に「販売価格」を並べる理由もこれだ。定価という基準点を先に植え付けて割引率を大きく見せなければ、財布の紐は緩まないことを彼らは知っていたのだ。
カードの支払いが実感しにくい理由、2002年のカード危機が教えてくれたこと
クレジットカードが消費を増やすという話はよく聞く。しかし、理由をこう説明されると少し違って聞こえた。クレジットカードは「購入する瞬間」と「実際にお金が出ていく瞬間」を分離する。行動経済学ではこれを「支払いの痛み(pain of paying)」が減るというが、現金を手で数えるときに感じる即時的な痛みが、カードを切る時には感じられないという意味だ。さらに、一ヶ月分の支出が請求書1枚にまとまることで損失が統合され、心理的な打撃がより薄まる。
これが単なる理論で終わらなかった事例が韓国にあった。2002年のカード危機だ。政府が通貨危機以降、消費喚起と脱税防止を目的にクレジットカードの発行規制を大幅に緩和し、キャッシング枠まで撤廃した。所得が不安定な人や全くない人にまでカードが乱発され、カードを切る時はお金が減る感覚が薄いため、消費が歯止めなく増えた。結局、数百万人が信用不良者となり、社会問題にまで発展した。支払いの痛みが分離された決済手段がいかに簡単に浪費につながるか、国単位で行われた実験のようなものだった。
借金は速く、負債は長い — 心理会計が作る5つの錯覚
韓国の家計経済相談の著者イ・ジヨンは、自身の著書『心理会計』で、韓国人がよく陥る5つの錯覚を指摘した。税金と4大保険を引く前の年俸総額を自分の所得と記憶する「所得の錯覚」、高金利のカードローンを抱えながら低金利の積立貯金を解約しない「貯蓄の錯覚」、カード特典やセール文句に乗せられる「消費の錯覚」、居住中の家を流動資産と錯覚してハウスプアに陥る「資産の錯覚」、そして借金の元金だけを負債と記憶して利息は別物として扱う「負債の錯覚」だ。
このうち、負債の錯覚が特に目に留まった。貯蓄は毎月少しずつ貯めてようやくまとまった金になるが、借金は書類数枚でそのまとまった金が口座に一気に振り込まれる。この速度の差のせいで、心の中では借金が「負債」ではなく「タダ金」に近い名札を付けられるというのが著者の説明だ。借入商品を選ぶ時も、総返済額や年利よりも、今すぐ負担可能な「月々の返済額」に集中するという研究結果があるが、これも同じ文脈ではないだろうか。毎月出ていくお金が慣れ親しんだ予算周期の口座に当てはまるので、数年にわたって返済すべき総額は後回しにされるのだ。
利益は分け、損失はまとめる方が痛くない — 快楽的編集
心理会計はカーネマンとトベルスキーのプロスペクト理論から出た価値関数、つまり利益には鈍感になり、損失にははるかに敏感になるという曲線に根ざしている。この曲線のせいで、人々は複数の出来事をどうまとめるかによって、同じ結果を異なって感じる。セイラーはこれを「快楽的編集(hedonic editing)」と呼んだ。原理はおおよそ以下の通りだ。
小さな利益は二つに分ける方が嬉しい。2万ウォンのプレゼントを2回もらう方が、4万ウォンのプレゼントを1回もらうよりマシに感じられるということだ。逆に、損失はまとめる方が痛くない。細かい支出がカードの請求書1枚にまとまれば、個別に感じた時よりも衝撃が小さい。また、小さな損失は大きな利益の横に付ければ存在感が薄れる。100万ウォンのボーナスから5万ウォンが税金で引かれるのは、100万ウォンと5万ウォンを別々に経験するより悔しさが少ない。最後に、小さな利益は大きな損失から切り離すと慰めになる。50万ウォンの修理費請求書を受け取りながら2万ウォンのリベートを別途案内される方が、純額48万ウォンの請求書1枚だけを受け取るよりマシに感じられる。
ここで一歩踏み込むと「ハウスマネー効果」というものもある。セイラーがポーカーゲームを観察していて発見したものだが、一度勝ち始めるとそのお金を「自分のお金」ではなく「カジノのお金」のように思い、より果敢に賭けるということだ。株やコインで稼いだお金を再投資する時に特に危険な選択をしてしまうのも同じ心理だろう。投資で稼いだお金も結局は自分のお金だと分かっていながら、その瞬間には実感が湧かないのだ。
退職年金の自動加入が貯蓄率を引き上げた理由 — ナッジと心理会計
心理会計を悪いこととして見る必要はない。セイラーとキャス・サンスティーンが発展させた「ナッジ(nudge)」理論は、むしろこの傾向を逆手に取る。代表的な事例が退職年金の自動加入だ。新規入社者を最初から退職年金に加入した状態にし、希望すれば抜けてもよいと案内する方式だ。人々は、よほどのことがない限り現在の設定を維持しようとする傾向があるため、貯蓄を「デフォルト値」にするだけで加入率が大きく上がる。
税金の案内文句も同様だ。「誠実納付でこれだけ特典」より「未納時はこれだけ損」と損失を強調する方が効果的だという研究があるが、これは損失が利益よりもはるかに痛く感じられるという心理をそのまま政策に移したものだ。保険加入を扱った国内の研究でも似た傾向が見られる。毎月保険料を払う消費者は、自分なりの「心理会計期間」を1ヶ月単位で設定するが、この短い周期の中に保険の恩恵を受ける確率は低いので、毎月払うお金が単なる損失のように感じられるのだ。そのため、リスクを嫌う人ほど逆に保険加入を先延ばしにするという、一見逆説的な結果が出るという。
では、この心理会計をどう扱うべきか
ここまで読んで、自分だけがそうではなかったのだと安心する一方で、知ったからといってすぐに直せる問題でもなさそうだ。専門家が共通して推奨する方法は意外と単純だ。統合予算を組んですべてのお金を一つの塊として見る習慣、ボーナスや還付金のように突然入ってきたお金をどう使うかあらかじめルールを決めておくこと、そして個別の口座一つひとつではなく、全体の純資産の流れを定期的に見ることなどだ。ただ、これが完璧な解決策かはよく分からない。心理会計そのものがなぜ人によって強度が違うのか、性格や文化的背景がどれほど作用するのかはまだ研究が手薄な分野だそうなので、この部分は私ももう少し調べてみる必要がある。とりあえず今月は、還付金から口座に混ぜてみることにしよう。
参考文献
- Richard Thaler, 'Mental Accounting Matters', 1999
- Thaler, 'Toward a positive theory of consumer choice', 1980
- Kahneman & Tversky, Prospect Theory, 1979
- Investopedia, Mental Accounting
- Corporate Finance Institute, Mental Accounting
- Wikipedia, Mental accounting / 行動経済学
- イ・ジヨン、『心理会計 — お金に関する5つの錯覚』、SalimBiz、2012
- ナムウィキ、2002年家計クレジットカード貸出破綻事態
- RISS, 心理会計期間・リスク回避・支払いの痛みが保険商品加入意図に与える影響
- The Decision Lab, Mental Accounting
- Manulife Bank, How to overcome mental accounting bad habits
- Frontiers in Psychology, Individual Differences in Mental Accounting, 2019
- PMC, Influences of mental accounting on consumption decisions: scarcity mindset, 2023
- KDI経済教育情報センター、行動経済学関連資料
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