先日、証券アプリを開いて数字を見間違えたのかと思った。
サムスン電機が一日で15%以上も急騰していたからだ。半導体の主要銘柄でもない、コンデンサや基板を作る部品会社なのに。
最初はただのテーマ性による反応だと思っていた。しかし調べれば調べるほど、特定の勢力が仕掛けた一過性のイベントではなく、数ヶ月前から続いている流れであることがわかった。そして、その流れの中心にいたのがJPモルガンだった。
JPモルガンがKOSPIの最優先銘柄にサムスン電機を選んだ理由
今年5月にJPモルガンが発表した韓国株戦略レポートを見ると、KOSPIの目標値を強気シナリオベースで10,000まで引き上げていた。基本シナリオは9,000、弱気は6,000。多くの証券会社のリポートで「KOSPI 1万ポイント」という数字を見たのは、この時が初めてだったと思う。
その根拠はメモリー半導体だった。
サムスン電子とSKハイニックスが時価総額上位20位以内に並んで名を連ねる国が、米国を除けば韓国であること。
そして、中東発の原材料価格上昇がスタグフレーション圧力につながる局面において、AIとセキュリティへの露出度が高い市場を好むというのがJPモルガンの論理だった。ここまでは半導体の話だ。
ところが、最優先銘柄リストを見ると、サムスン電子、SKハイニックスの横にサムスン電機、現代自動車、サムスン物産、ハンファエアロスペース、サムスン生命といった名前が並んでいる。
1ヶ月後の6月、JPモルガンはKOSPI目標を修正し、基本12,500、強気15,000まで引き上げたが、その時もサムスン電機はリストから外れなかった。半導体の話をしていたのに、部品会社の名前がずっと出てくるのが最初は少し不思議に感じられた。
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*サーバー1台にコンデンサがいくつ入るのか
MLCC、つまり積層セラミックコンデンサは、電子機器の中で電流を蓄えたり流したりする極めて小さな部品だ。スマートフォン1台に数百個、自動車1台には数千個が搭載されると言われており、決して派手な部品ではない。
昨秋JPモルガンが出したリポートの一つが、今改めて目に留まる。当時JPモルガンはサムスン電機の目標株価を16万5,000ウォンから23万ウォンに引き上げたが、その根拠はAIサーバーラック1台に入るMLCCの搭載量が、一般サーバーと比べて8倍から10倍に達するという分析だった。今の株価が140万ウォン台であることを考えると、当時の数字が隔世の感があるほど小さく感じられる。もちろん、その間に市場環境そのものが一変した影響が大きいだろうが。
搭載量が数倍に増える理由は単純だ。
AIサーバーは電力消費と演算量が一般サーバーとは比較にならないほど大きく、電力が安定するように制御する役割を担うのが、まさにこの小さなコンデンサたちだ。高性能な製品であるほど、搭載個数も要求される仕様も一緒に高まる。
つまり、AIデータセンターへの投資が増えるほど、半導体チップの注文だけでなく、その横に付く部品の注文も一緒に増える構造だ。もちろん、メーカーごとに搭載量の推定値が少しずつ異なるのを見ると、8〜10倍という数字も確定的な絶対値というよりは、大まかな範囲として受け取るのが適切だろう。
数字だけ見ると「そうなのか」で終わりそうだが、実際の業績表にもその痕跡は見られる。
今年第1四半期のサムスン電機の売上は3兆2,091億ウォンで、前四半期比11%、前年同期比17%増加した。営業利益は2,806億ウォンで、前四半期比17%、前年比40%増だ。退職給付関連の一次的な費用まで反映された数値にもかかわらず、市場予想を上回ったという。
売上の増加幅よりも営業利益の増加幅がはるかに大きいということは、単に物量が増えただけでなく、高付加価値製品の割合が一緒に高まったと読み取れる。ただし、この四半期の結果だけでトレンドを断定するにはまだ早いという気もする。
MLCC価格はなぜ今、30%も跳ね上がったのか
今年7月末、サムスン電機はマークアップ・ビジネスコードに該当するMLCC全製品の価格を、8月1日出荷分から30%引き上げると取引先に通知した。日本の太陽誘電も同時期に9月1日付の引き上げを検討しているという話が出た。
一社だけでなく、業界全体が同じ方向に動いているということだ。
価格上昇の背景について、よく「需要が爆発した」と説明されるが、正確には供給側の話に近い。
高性能ラインはすでにフル稼働状態で、新しい生産ラインを建設するには通常2年近くかかるという。
村田製作所・サムスン電機・太陽誘電の3社の受注残高に対する出荷比率、いわゆるブック・トゥ・ビル比率が6月末時点で1.25から1.31まで上昇したという。これはコロナ禍以降で最も高い水準だそうだ。注文が入るスピードが物を作るスピードを上回っているということなので、在庫が積み上がる余地は少なそうだ。
会社側も今年、設備投資規模を昨年より2倍以上増やすと発表しており、供給を急いで増やそうとする動き自体が、現在のボトルネックがどれほど深刻かを示しているようだ。
注目すべきは長期契約だ。
サムスン電機は今年に入り、ビッグテックの顧客と1年契約で4,500億ウォン規模、2年契約では1兆5,000億ウォンを超えるシリコンコンデンサ供給契約を相次いで締結した。MLCC業界では短期注文が慣例だったことを考えると異例のことであり、それだけ顧客企業も物量確保に不安を感じているというシグナルと読み取れるのではないだろうか。
半導体パッケージ基板であるFC-BGA側も事情は同じで、サーバー・データセンター向けの需要だけで、すでに生産能力を超えているという話が決算発表の場で出た。
今回のMLCC好況、2017年と何が違うのか
MLCCスーパーサイクルという言葉自体、初めて聞く表現ではない。
2017年から2018年にかけても同様の好況があり、そのあとには急激な下落が続いた。当時を覚えている投資家であれば、今の雰囲気を素直に喜べないかもしれない。
今回は違うと主張する側の論理は、概ねこうだ。
2017年の好況が在庫不足と短期注文の爆発が重なった結果だったとすれば、今はデータセンター投資という、はるかに長いスパンの需要と噛み合っており、何よりも供給能力自体が物理的に制限されている点が違うということだ。
サムスン電機の売上でAI関連事業が占める割合が、2026年の20%台から2027年には30%台まで増えるという推定も出ている。8月に入り、モルガン・スタンレーは韓国のテクノロジー株の最優先銘柄をサムスン電子からサムスン電機に変更し、目標株価も262万ウォンに引き上げ、強気シナリオでは300万ウォンまで可能性を残した。
ただし、バリュエーションの負担を指摘する声もある。
ある国内証券会社のリポートでは、目標株価に内包された12ヶ月先行株価収益率(PER)が92倍に達すると指摘した。これは過去、この銘柄の歴史的高値圏だった30倍前後を大きく上回る数値だ。目標株価を引き上げたモルガン・スタンレーでさえ、弱気シナリオでは135万ウォンまで低く見積もっている点も注目に値する。構造的な要因とバリュエーションの負担が同時に存在する状況であり、このどちらがより大きく作用するかは、次の数四半期の決算が出てみないと明確にはならないだろう。
結局、これが真の構造的転換なのか、それとも熱気が冷めたあとに2018年のように戻ってしまう局面なのかは私にもわからない。それでも、半導体の話をしていたはずが、いつの間にかコンデンサの話まで追いかけることになるとは思わなかった。
参考文献
- https://www.investing.com/news/analyst-ratings/samsung-electromechanics-stock-price-target-raised-by-jpmorgan-on-ai-growth-93CH-4230602
- https://v.daum.net/v/20260511093202686
- https://finance.biggo.com/news/325b4ffd-e38b-481e-bc7a-c19e73158bbb
- https://www.fnnews.com/news/202608122202154801
- https://mbiz.heraldcorp.com/article/10839070
- https://en.sedaily.com/international/2026/08/13/morgan-stanley-names-samsung-electro-mechanics-top-pick
- https://en.sedaily.com/finance/2026/09/01/samsung-electro-mechanics-price-target-raised-to-2-million
- https://en.sedaily.com/finance/2026/06/09/samsung-electro-mechanics-soars-6-fold-this-year-target
- https://www.trendforce.com/news/2026/07/29/news-samsung-electro-mechanics-lifts-mlcc-prices-30-starting-aug-1-taiyo-yuden-reportedly-eyes-sept-1-hike/
- https://www.trendforce.com/news/2026/07/01/news-samsung-electro-mechanics-lands-krw-450b-1-year-mlcc-contract-as-ai-spurs-long-term-agreements/
- https://www.alphaspread.com/security/krx/009150/investor-relations/earnings-call/q1-2026
- https://kbthink.com/securities-view.html?docId=20260526154943783K
- https://www.investing.com/equities/samsung-electro-mechanics