為替アプリの通知をミュートにしてから2ヶ月が経った。
「ピン、ピン」と一日に何度も鳴っていた通知に飽き飽きしていた頃、8月初旬のニュースで「アメリカと日本が共同で円市場に介入した」という見出しが目に飛び込んできた。
最初は読み飛ばした。円の話だし、自分の財布とは関係ないだろうと思ったからだ。
ところが数日後、ウォン/円相場が約2年ぶりの安値をつけたという記事を見て、これが他人事ではないと気づいた。そこで、ここ数週間のニュースを一つずつ調べ、時系列で整理してみた。結論から言うと、円は再び弱含みに転じたものの、ウォンだけが強含みを維持する期間が生じ、その理由は介入そのものではなく、国内輸出企業の動きにあった。
米日による円共同介入、何が起きたのか
発端は為替介入ではなく原油価格だった。
6月初旬、アメリカとイランの軍事衝突への懸念から国際原油価格が急騰し、ウォン/ドル相場は6月8日の場中に1,561.5ウォンまで急騰した。2009年3月の金融危機以降、17年3ヶ月ぶりの最高値だった。
同時期、日本でも円安が限界に達していた。
7月末、ニューヨーク市場でドル/円が164円に迫り、約40年ぶりの安値を記録。輸入物価の負担に耐えきれなくなった日本政府と日本銀行は、7月30日の夜から円買い・ドル売りの介入に踏み切った。日本の財務相は米財務省と協力して円買い介入を実施したことを公式に認め、アメリカが円買いに直接参加したのは1998年のアジア金融危機以来28年ぶり、米日両国の共同介入自体は2011年の東日本大震災への対応以来15年ぶりだった。それほど異例の組み合わせだったということだ。
規模も小さくなかった。
日本経済新聞などの現地メディアは、日本銀行の当座預金残高の変動を根拠に、介入規模を6兆〜7兆円、ウォン換算で55兆〜64兆ウォン規模と推算した。効果は即効性があった。
163円台だったドル/円は一日で157円台に急落し、投機筋の円売りポジションは一週間で72%減少した。1992年の統計開始以来、最大の減少幅だった。
問題は、この効果が長続きしなかった点だ。8月中旬に入るとドル/円は再び157〜160円台に押し戻された。「日本の拡張財政と低い成長潜在力を考えれば、トレンドとして円が反発するのは難しい」という分析が続き、追加介入の余力も限定的だという噂が流れた。
ウォンだけが独歩的に強含みな本当の理由
円が再び揺れ始めたのに、なぜウォンは強含みを続けたのか。
答えは米日介入の余波ではなく、その後に国内で起きた需給問題にある。
米日共同介入直後の8月3日、ウォン/ドルも円につられて1,420ウォン台まで下がった。ここまでは予想通りの流れだ。ところが8月中旬、円が再び弱含みに転じた後も、ウォンはむしろ強さを増した。8月19日にはウォン/ドルが11ヶ月ぶりに1,300ウォン台(場中1,388.5ウォン)まで下落し、8月21日には1,386.5ウォン(場中1,380.3ウォン)を記録した。円は弱いがウォンは強いという、両通貨が別々の動きをする区間が現れたのだ。
この点が今回の流れにおいて最も重要なポイントだ。
国内の輸出企業が輸出代金として受け取ったドルをウォンに換えようとする売り注文が市場に殺到し、円とは無関係にウォン高を押し上げた。
つまり8月初旬のウォン高は円安の影響だったが、8月中旬以降のウォン高は純粋に国内の需給が作った結果だ。韓国経済が急に良くなったからではなく、円安の反転と米日政策協調、国内輸出企業のドル売りが重なった結果である。
その結果、ウォン/円相場(100円あたりのウォン価値)は8月13日に887.84ウォンまで下落した。
2024年7月以降で最低値だ。上半期だけでも950ウォン前後だったことを考えると、2ヶ月で大きく低下したことになる。
ウォン/円 887ウォン台、日本旅行・個人輸入には何を意味するのか
100円あたりのウォン価値が下がったということは、同じウォンで買える円が増えたことを意味する。
上半期の950ウォン台と8月の887ウォン台を比較すると、100万ウォンで交換できる円が概ね6〜7万円ほど増える。旅行費用で言えば宿泊費1〜2日分が浮く計算になるので、日本旅行や個人輸入を準備中なら、今がタイミングを見極めるべき時期だ。
輸出企業には負担となるウォン高、いつまで続くのか
同じ数値が、反対側では負担となる。
日本市場で韓国製品と日本製品が価格競争をする輸出企業にとっては、ウォン高は価格競争力を削ぐ要因となる。釜山港で船積書類を点検する物流担当者にとっては、他人事ではないということだ。
さらに重要なのは、この流れがどれだけ続くか誰も断言できないという点だ。
外国為替当局や専門家の間では、米日の追加介入余力は限定的だという声がすでに出ており、日本銀行が9月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るか、アメリカ側から追加の政策協調のシグナルが出るかによって、方向性は再び変わる可能性がある。
2026年下半期の資産戦略を扱った記事でも指摘した通り、円の変動性はしばらくの間、韓国の輸出企業と資産市場の両方にとって変数として残る可能性が高い。
まとめると、6月の中東発のウォン超弱含み → 7月末の米日共同円介入 → 8月初旬のウォン・円連動の強含み → 8月中旬以降の円のみ再弱含み・ウォン独歩の強含みという順序だった。2ヶ月の間にこれほど多くのことが起きていたことを、資料を探しながら初めて知った。為替がひとつの国の事情だけで動くのではないことを改めて実感したきっかけであり、米日の政策協調や国内需給が変われば流れはいつでも逆転しうるので、当分は注視する必要がある。
参考文献
- ファイナンシャルニュース、『米・日共同介入で円相場急反発…ウォン・ドルも1420ウォン台に』(2026.08.03) — https://www.fnnews.com/news/202608031833191540
- ヘラルド経済、日本政府「60兆ウォン規模」円為替介入と推定…アメリカも介入(2026.08.01) — https://biz.heraldcorp.com/article/10827743
- イーデイリー、『米・日、円安防衛戦を公式化…追加共同介入も辞さず』(2026.08.03) — https://www.etoday.co.kr/news/view/2610493
- ウェルフェアハロー、『2026年ウォン・ドル相場1500ウォン台突破の背景と見通し総まとめ』 — https://www.welfarehello.com/community/policyInfo/2026-%EC%9B%90%EB%8B%AC%EB%9F%AC-%ED%99%98%EC%9C%A8-1500%EC%9B%90%EB%8C%80-%EB%8F%8C%ED%8C%8C-%EB%B0%B0%EA%B2%BD%EA%B3%BC-%EC%A0%84%EB%A7%9D-%EC%B4%9D%EC%A0%95%EB%A6%AC--594b7ae9-ef6a-4c99-bade-d0881d7d700a
- e-ナラ指標、『ウォン/ドル相場』 — https://www.index.go.kr/unity/potal/main/EachDtlPageDetail.do?idx_cd=1068
- 韓国銀行経済統計システム(ECOS)、ウォン/円相場売買基準率告示資料 — https://ecos.bok.or.kr/