数日前、指を少し切ってしまった。引き出しを探すと軟膏が3つも出てきた。フシジン、マデカソル、そして名前もあやふやなビパンテンに似たチューブが1つ。どれもキャップが半分固まっていて、何を塗るべきかはいつものように勘で選んだ。
ふと疑問に思った。これらの軟膏、本当にどれを塗ってもいいのだろうか。それとも順番があるのだろうか。調べてみると、思った以上に成分の話が出てくる。名前は似ていても中身は異なり、それには理由がある。
フシジンには何が入っているのか
フシジンの正体はフシジン酸という抗生物質だ。薬局でのみ購入可能な一般医薬品であり、このフシジン酸成分が傷口を通じた細菌感染を遮断する役割を果たすという。つまり、傷を早く治す薬というよりは、細菌の侵入を防ぐ側に近いということだ。
そのため、フシジンは傷を早く治したり傷跡を予防したりするというより、傷口からの細菌感染を防ぐ役割であるとまとめている資料が多かった。傷ができた際によく「早く治す軟膏」とひとまとめに呼ばれるが、実際の作用機序は少し異なるわけだ。細菌が入らないようにドアに鍵をかける側であり、細胞再生を促進する側ではないということだ。
マデカソルはなぜ後に塗れと言うのか
マデカソルに移ると話は完全に分かれる。成分表を見ると、マデカソルはツボクサ(センテラアジアチカ)抽出物が中心だ。マデカソルケアはセンテラアジアチカ抽出物を主成分とし、傷の治癒を促進し、傷跡の形成を抑えるのに役立つとされている。抗生物質ではなく、再生系の成分なのだ。
面白いのは、マデカソルという名前を冠した製品が一つではないという点だ。コンビニで売られているマデカソルは抗生物質を含まないセンテラ定量抽出物のみが入った医薬部外品であり、薬局用のマデカソルはそこに抗生物質成分(ネオマイシン)まで加わった一般医薬品だという。外見は似ているが、薬局用とコンビニ用は実際には別製品なのだ。これを知らずにコンビニのものばかり使い続け、感染の恐れがある傷に効果を得られないケースがあるのではないだろうか。
そこで導き出される結論は、傷の消毒後に傷跡管理までしっかり行うなら、フシジンを先に使用した後にマデカソルで仕上げるという順番だ。感染リスクがある初期には抗生物質で防ぎ、ある程度塞がった後には再生成分で傷跡を減らすという流れ。順番があるという話は、根拠のない噂ではなかったわけだ。
ビパンテンはなぜ突然人気になったのか
数年前からビパンテンが「薬局の万能アイテム」と呼ばれ話題だった。実際に成分はフシジン・マデカソルとは毛色が異なる。核心はデクスパンテノールという成分だが、これは抗生物質でもツボクサ抽出物でもない。食品医薬品安全処の資料を見ると、傷、火傷、裂傷(授乳期の乳頭亀裂)、床ずれ、急性および慢性皮膚炎、湿疹、皮膚潰瘍、おむつかぶれ、日焼けの補助治療に使用すると記載されている。感染遮断でも傷跡再生促進でもなく、皮膚バリアそのものをいたわる側に近い。
そのため、傷というよりは皮膚炎や乾燥、刺激を受けた肌により頻繁に登場する。赤ちゃんの「おむつかぶれ」に主に使われていた一般医薬品が、医師や薬剤師のSNSコンテンツを通じてデイリースキンケアアイテムとして浮上したという話もあるが、本来の用途と最近の流行の間には少し隔たりがあるように感じる。ただし、脂性肌や炎症が多い場合はトラブルが出たり、目の周りに稗粒腫(はいりゅうしゅ)ができたりする可能性があるため注意が必要だという指摘もある。「万能」という言葉には常に誇張が含まれていることを考慮すれば、これも適度に使用するのが正解ではないだろうか。
エスロバンはなぜフシジンと別扱いされるのか
ここまで見るとフシジンが一番強力な抗生物質軟膏かと思いきや、実際にはもう一段階上がある。エスロバン(ムピロシン)だ。これは病院で処方されて使うケースが多く、フシジンよりも重い感染状況に使用される。メチシリン耐性菌株を含む黄色ブドウ球菌など、ほとんどの皮膚感染症の原因菌に有効であると明示されているが、この「メチシリン耐性菌株」という部分が目に留まる。普通の抗生物質ではなかなか効かない菌までカバーするという意味だ。
そのためか、使用期間の制限もフシジンより厳しく設定されている。エスロバンは感染部位に1日2〜3回、10日間少量塗布することが一般的に推奨されており、10日間使用した後は最低10日間は中断しなければならないとされている。効果が良いからと使い続けると耐性の問題が先に生じるという話だが、この部分は少し怖く感じられる。体に常在する菌に抗生物質の耐性ができてしまうと、いざ本当の感染が起きた時に薬が効かない状況になりかねないからだ。
結局、何を塗るべきか
まとめるとこういう図式になる。4つとも「傷に塗る軟膏」というカテゴリーでひとまとめにされるが、狙っているポイントは確実に異なる。
| 軟膏 | 核心成分 | 主な使用時期 | 性格 |
| — | — | — | — |
| フシジン | フシジン酸 (抗生物質) | 傷ができた初期 | 細菌感染遮断 |
| マデカソル (薬局用) | ツボクサ抽出物 + ネオマイシン | 傷が塞がっていく時 | 再生促進 + 感染防止 |
| マデカソル (コンビニ用) | ツボクサ抽出物のみ | 傷跡管理段階 | 再生・傷跡緩和 |
| ビパンテン | デクスパンテノール | 皮膚炎・乾燥・刺激 | 皮膚バリア鎮静 |
| エスロバン | ムピロシン (抗生物質) | 病院処方時 | 耐性菌を含む強力な抗菌 |
表にしてみると、むしろ明確になる。フシジン・エスロバンは細菌を防ぐ側、マデカソルは再生・傷跡、ビパンテンは鎮静・保湿側へと役割が分かれていることが。
ただし、この区分を完璧に守って順番通りに塗らなければならないかといえば、それはまた別の問題のようだ。些細な切り傷程度ならどれを塗っても大きな差はない可能性が高く、わざわざ成分表まで確かめて選ぶ必要があるのは、傷が少し深かったり長引いたりする場合くらいではないだろうか。感染の兆候(腫れ、熱感、膿)があるなら軟膏より病院が先なのは当然のことだ。
そういえば家ごとの救急箱の事情も少しずつ違う。子供がいる家にはビパンテンが特に多く、一人暮らしの部屋にはフシジンだけがポツンと置いてあることが多い。病院で処方された経験がある人の家にはエスロバンが混ざっていたりもする。これが明確なルールがあってのことというよりは、その時々で必要だったものを買ってきた結果、自然と積み重なったものだろうが。
個人的には今回調べてみて初めて、マデカソルを「何でも効く万能傷薬」だと誤解していたことに気づいた。コンビニ用マデカソルと薬局用マデカソルが別製品であることも今回初めて知ったが、成分表を注意深く見なければ一生知らないまま通り過ぎるような部分だ。ラベルに大きく「これは抗生物質なし」と書かれているわけでもないから。
もちろん、これほどの区分が毎回すべての傷に必要なわけではない。指先が少し擦りむいた程度なら、3つのうち何を塗っても大きな差はないだろう。ただ、傷が少し深かったり、数日経っても腫れや熱感が引かなかったりするなら、その時は軟膏の名前よりも病院を先に思い浮かべるのが正しいようだ。成分の区分はあくまで参考であり、判断は結局、傷の状態を見る本人の役割なのだから。
それにしても、この記事を書きながら、肝心の自分の指の傷に何を塗ったのかは思い出せない。たぶん、3つのうちどれかを適当に掴んだはずだ。
※この記事は一般的な情報提供を目的として作成されており、実際の傷の状態や個人の健康状態によって適切な軟膏や使用法は異なる場合があります。感染が疑われる場合や傷がひどい場合は、薬剤師または医師に相談することが安全です。
参考文献
- ドクターナウ、マデカソルケアとフシジンの違いは?
- ドクターナウ、フシジン、エスロバン、マデカソル、ビパンテン軟膏の違いは?
- ドクターナウ、エスロバン使用後10日中断、再び使用してもいいですか?
- ビズウォッチ、フシジン vs マデカソル…同じだと思っていたのに違うの?
- KMCRIC、フシジンとマデカソルの違いは?
- 食品医薬品安全処 医薬品統合情報システム、ビパンテン軟膏(デクスパンテノール)製品情報
- バイエル ビパンテン軟膏 添付文書
- ビパンテン 公式ホームページ (bepanthen.co.kr)
- ハーパーズバザーコリア、ビパンテン軟膏をクリームのように塗ってもいいですか
- health.kr 医薬品情報、エスロバン軟膏 添付文書
- フダダック健康、ムピロシン軟膏(エスロバン)効果・効能 Q&A